水俣は遥かになりて・4

hamkichi

2009年05月09日 12:12

忍び寄る異変・・・

水俣病「語り部」の杉本さんの奥さんのお母さんがマンガン病。
同じころ、水俣湾へナマコ漁に出たある親子が引き揚げたものは大量の穴ダコの死骸だった。

こういった当事者も含めて、うすうすチッソが怪しいとは感じていた。
何より水銀を海へ垂れ流しているチッソは知っていた!

熊本大学が魚介類の中の有機水銀が原因ではないかという水銀説を出したのだが、チッソとしては水銀という名前が世間に出るのはマズイと考え、マンガン病という病名を報道へ取り上げさせたのである!

チッソは会社を、そして漁民たちは生活のを守るために保身に走った!

魚を食べて体調不良になったといえば、魚が売れなくなる!
「病気を出すな、辛かってもこらえとけ。絶対、病院に連れていくなよ」というのが、漁民の基本思想だった。
しかし、このことにはこの病気はすぐに治まるだろうという思いがあったことも否めない。
薬を飲んで寝れば治るぐらいに・・・。

水俣湾では、間もなく腐った貝が異臭を放ち始め、チヌやスズキが白い腹をさらした。
やがて異変は陸にも出てきたのである。
カラスが空を飛ぶことができずに地面に落ちる。猫も脚がふらつき、よだれを垂らし始める。突然走りだし、家の柱や壁に激突する。川に飛び込む。火の中に突っ込んだ。神経麻痺が進行してしまったのである!
やがて「水俣の一部地域で猫全滅」という記事が新聞に載った。



そして、人にもその被害は及ぶ。小さなしびれや震えは、歩行障害や視野狭窄までに広がる。まるで居なくなった猫のようである。

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