アチャー！

チッソの繁栄は水俣の繁栄でもある。

現在でも水俣市の税収の６分の１はチッソによるものである。
２００７年度は約５億円。
水俣市の人口約２８，０００人のうち５人に１人がチッソの関係者といわれる。
今もって水俣はチッソの城下町である。

１９３２年。
大雨のたびに氾濫（はんらん）する水俣川の大規模改修事業と、水俣港の近代化を進める改修工事が始まる。２年後には上水道施設工事も開始。ともに当時の水俣町の年間予算を超える大事業だったが、チッソからの豊かな税収が支えた。

チッソの繁栄はこのように水俣に大きな貢献をしている。
しかし、チッソは経済面だけでなく政治面への影響力も強まっていくのである。
１９５０年には、元水俣工場長の橋本彦七が市長に就任。しかも、市議会にも社員を送り出して、チッソ＝水俣市が一層確たるものになっていったのである。



水俣病「語り部」の杉本さんは、この頃漁師を目指していたという。
高校卒業後、アルバイト先の網元だった杉本家に婿入りするかたちで栄子さんと結婚するが（５９年）、その頃から村に異変が起き始めた。
同じ、水俣であっても豊かな海に生きる漁村部では、町部のような繁栄の恩恵を受けてはいなかった。
それどころか、海は汚染が広がっていく・・・
海は巨大な毒の渦中へと・・・