アチャー！

簡単に自己紹介をしておく。
俺はA、ある食品添加物商社の中堅社員だ。

俺の手にかかれば、あのミートホープの社長よろしく、どんな粗悪な素材でも魔法の食品添加物で、美味しいものに変えてしまう。
ただし、ミートホープの社長のような法律違反はやらない！この違いは大きいと自負している！

さて、ある日のことだった、食品メーカーのMさんがペースト状になった肉を持ってきた。
「Aさん、これで何か商品開発してくれませんか？」
　　　　　　　　「いいですよ、Mさん、ところでこの肉は？」
「牛乳を絞り終わった老廃牛です」
　　　　　　　　「なるほど、それで部位は？」
「トリミングミートです」
　　　　　　　　「それなら、サイコロステーキにしましょうか？」
「Aさん、実はプロイラーのトサカも混ざってるんですよ」
　　　　　　　　「だったら、子供向けのミートボールにしましょう。味付けはまかして下さい！！」

かくして、俺の作ったミートボールは、砂糖や水飴で子供好みの甘い味にし、俺の添加物マジックで肉もそれなりのものになっている。そして、可愛いキャラクターの袋にパッケージされバンバン売れている！！



家族での楽しい夕げのハズだった・・・。
それを壊したのは、俺の作った【ミートボール】だった・・・。
「オイ！そのミートボール食べるな！」
俺は息子が食べようとしていたミートボールを皿ごと取り上げてゴミ箱へ投げ捨てた。

妻は何が起こったのかと「どうしたの？」と何度も叫んだ！
可哀相なのは、俺の息子だ、何が何だかわからずに怒鳴られて、泣きだしてしまった！

しかし、俺も涙が落ちてきた・・・。
俺は、自分の子どもに食べさせることができない商品を作っていたんだと・・・。
これほど情けないことはなかった・・・。
俺は、今まで何をしてきたんだ・・・。
俺は、胸が痛んだ・・・。
≪こんなもの、俺の子供じゃなくたって、誰にだって食べさせちゃいけない≫

翌日、俺は会社へ辞表をだした。
俺がやらなくても、誰かがやる。
それはわかっているが、もう俺にはできない・・・
否、できないんじゃなく、俺はもう二度やらない！

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この物語は、実話に基づいています。
このAさんはその後、食に隠された部分を世に出しています。

本来、子供が食べる食品ほど原材料が確かなもので作るべきなのに、現状はまったく逆になっています。